Talk About Liverpool

医師の方々への感謝とリヴァプールの試合を楽しめる日が来ることを願って

プレミアリーグが17日に再開で合意!

新型コロナウイルスの影響で中断していたプレミアリーグが、無観客の条件付きで再開することを合意したと発表しました。

 

再開初戦は、カラバオカップ決勝の影響で延期になっていたアストン・ヴィラシェフィールド・ユナイテッドマンチェスター・C対アーセナルの2試合が開催されます。

現在トップを走るリヴァプールは早ければ6月中にも戴冠の可能性があります。

 

f:id:Take_2516:20200530190539j:plain

 

ただ懸念されるのはその超過密日程

19日から7月25日までの5週間で全92試合を終えるためにほぼ毎日試合を行うことになっています。

また、すでに残された試合の中でもニューカッスル戦、エヴァートンとのマージーサイド・ダービーマンチェスター・Cとの直接対決はすでに中立地での開催が要請されています。

 

f:id:Take_2516:20200530190759j:plain

 
 選手はトレーニングを再開し、すでに試合に向けての準備を進めています。

選手のモチベーションも上がっていることを感じられる様子も写真から伺うことができます。

 

f:id:Take_2516:20200530190415j:plain

 

18-19シーズンでは97の勝ち点を記録するもマンチェスター・Cに1点差でタイトルを譲る結果となりました。

その一方今季は圧巻のプレーを見せつけ首位を独走し、優勝まであと2勝に迫っているリヴァプール

再開を望む声も当然多く挙がる一方、優勝が決まる試合では中立地での開催の可能性が高くもどかしい思いです。

一方プレミアが日常に戻ってくるのを待ち遠しく感じるのも事実。

今はその日をただ待ち望もうと思います。

 

 

take-2516.hatenablog.com

take-2516.hatenablog.com

 

 

 

De, De, Der, De, De ジニ・ワイナルドゥム!

 

www.youtube.com

 

このチャントが一番好きです!

今回は選手紹介の2人目です!

ジョルジニオ・ワイナルドゥム

 

f:id:Take_2516:20200517203640j:plain

 

レッズの頼れる5番。ユルゲン・クロップのハードワーク戦術になくてはならない選手です。

 

今回はそんなジニのプレースタイルや魅力をピックアップしていこうと思います!

 

 

 

・ジョルジニオ・ワイナルドゥムとは?

オランダとスリナムの国籍を持つワイナルドゥムは現在29歳のリヴァプールのMF。2007年にオランダのフェイエノールトでデビュー後、PSVニューカッスルでキャリアを築きます。2016年に5年契約でリヴァプールへと加入し、とにかくハードワークが要求される中盤において攻守の要として定着して、特にヘンダーソンとのインサイドハーフのコンビで素晴らしいプレーを見せてくれます。単純にセントラルMFとしての技術が高く、当たり負けしないフィジカルやパス精度、ウイングとしての経験からくる積極的な攻撃参加に決定力、ボール奪取の技術、そしてハードワークをいとわないメンタリティー等、中盤に必要なスキルを全て高水準で保っています。正念場のような試合での勝負強さを持っており、彼のプレーにチームは何度も救われてきました。

f:id:Take_2516:20200517205002j:plain



・プレースタイル解説

ワイナルドゥムのリヴァプールでの役割は、しばしば「バランサー」とも称され、左のインサイドハーフとして中盤でパスを繋ぐことが主です。戦術理解度が高いことから複数ポジションをこなせる強みもあり、オランダ時代の右ウイング、トップ下経験に加え、19-20のCLバルセロナ戦1stレグではフィルミーノの代役としてセンターフォワードとしてもプレーしました。

 

しかし何よりもインサイドハーフでのワイナルドゥムは、攻めて良し、守って良しの選手であり、さながらオランダの闘犬エドガー・ダービッツスリナムの天才、クラレンス・セードルフを足して2で割ったような選手。贔屓目に見ても、数多くの監督が欲しがるオールラウンドなプレイヤーであると思います。

 

f:id:Take_2516:20200519203552j:plain

 

ワイナルドゥムは相手からプレッシャーを受ける際のボールキープ力が非常に高い、一言で言えば”奪われない”ミッドフィルダーです。強靭なフィジカルに加え体感にも優れているのか、倒されることがほとんどなく、中盤でチームの潤滑油として機能する選手と言えます。その戦術からリヴァプールの中盤は欧州でも屈指の困難な仕事であるとしばしば形容されます。90分間ピッチを駆け回ってボールを回収し、当たり負けせず安定して配給できる選手がいかにチームにとって助けになっていることでしょう。

 

かつてフィーゴジダンベッカムロナウド錚々たる面子を擁した銀河系軍団レアル・マドリードにおいて、かの名ボランチクロード・マケレレの存在を忘れたものはいないでしょう。マネ、サラー、フィルミーノという絶対的な矛を生かす上でワイナルドゥムの貢献はファンの誰もが理解しています。

 

f:id:Take_2516:20200527210741j:plain

 

 

それに加えスピードがあるからこそ両足の筋力が跳躍力やアジリティーという形にも現れています。175cmと小柄な部類に入るにもかかわらず、ヘディングに秀でており彼の空中戦の強さはチームの強力な武器となっています。18-19のCLバルセロナ戦然り、19-20のCLアトレティコ戦然り、身長がなくてもタイミングに合わせ、持ち合わせたジャンプ力でセットプレーやサイドからのクロスに頭で合わせることで困難な状況を独力で解決してみせます。スペイン紙『as』ではワイナルドゥムがヘディングのインスピレーションとなった出来事を語っています。

 

『(なぜヘディングでの得点が多いのかと聞かれ)なんでかというと、子供の頃に従兄弟と散々ヘディングの練習をしたからかな。彼はパトリック・クライファートの大ファンだったんだよ。

クライファートは本当にヘディングが上手かったから、僕がボールを持って外にいく度に従兄弟はどうすれば良いタイミングでヘディングが決められるかを教えてくれたんだ。彼は良いタイミングで飛ぶことさえできればヘディングのほとんどの仕事は終わりだって教えてくれたよ。だから僕は何度もそれを実践した。おかげで今は得意のプレーだね。』

 

en.as.com

 

 今では守備的な選手としてプレーできる事実を証明しましたが、やはり特筆すべきはテクニック。巧みなドリブルや軽快なワンツーで狭いエリアをすり抜けるスキルはさすが元トップ下の選手。フィルミーノが降りてきたときの前線への飛び出しから相手ゴールを脅かすシーンが数多く見られます。しばしばドリブル突破や決定的なパスがないと評価する方もいますが、むしろテクニックにおいてはレッズの中盤でもトップなのではと思います。

 

www.youtube.com

 

2019年のオランダ代表では10番として4試合に出場7ゴールを挙げ、決して得点力も低くないことを見せつけました。強烈なミドルシュートなどはあまり見られませんが、決めるべきところはきっちりゴールを奪っています。

場面によって攻撃的にも守備的にもなり、テクニシャンでありハードワーカーにもなる、まさに”カメレオンMF”です。しばしばプレミアで過小評価されている選手の1人として紹介されることがありますが、もはや多くの有識者はそうは思っていないでしょう。ワイナルドゥム ほど安定して強みを発揮できる選手もそう多くないのではないでしょうか。

 

・2部降格からアンフィールド

f:id:Take_2516:20200527215821j:plain

 

このまさにダービッツを彷彿とさせるドレッドヘア。フェイエノールトPSVのオランダ時代は右サイド、トップ下でプレーし、この頃から前線の選手のわりに守備への意識が高い様子が窺えます。12-13シーズンは33試合で14ゴールを記録し、その名を欧州に轟かせました。2015年にプレミア、ニューカッスル・ユナイテッドに移籍。そのシーズンにリーグ戦11ゴールを挙げる活躍を見せましたが、クラブは2部降格が決定。そこに目をつけたのがリヴァプール監督として2年目を迎えたユルゲン・クロップ

 

f:id:Take_2516:20200527221921j:plain

 

2016年に5年契約でリヴァプールに加入。一時期はチェンバレンミルナーに中盤のポジションを奪われベンチスタートが続いていましたが、徐々にバランサーとしてプレーの幅を広げ、その結果テクニックに加え、フィジカルやディフェンスのセンスを開花させ、今はインサイドハーフのファーストチョイスとしてチームを支えています。

 

最新のUEFAのインタビューでバランサーとしての役割が、リヴァプールでどのように確立されたかを口にしています。

『僕のオールラウンダーとしての役割はこのチームで磨かれたよ。

前までは非常に攻撃的な役割を担っていて、攻撃に集中することに慣れていた。2014年に(当時のオランダ代表として)ルイス・ファン・ハールの元でW杯を経験して以来、ミッドフィルダーとして試合をコントロールする役割が増え、それが上手くいったんだ。その後、PSVニューカッスルでプレーしたけどそのような役割を担うことはなかったよ。

 クロップと話した時、僕がもっとディフェンシブな役割をこなしてオールラウンダーになる必要があることを教えてくれたんだ。攻撃するのに慣れていたから、そのようなプレーをこなすのは簡単なことじゃなかった。それでも、それは僕の成長の助けとなったよ。今の自分はアンフィールドに来た時よりもより完成された選手だね。』

 

www.liverpoolfc.com

 

・『こいつがいないと困る』 -ダービッツとワイナルドゥム-

ユベントス時代のダービッツ、レアル時代のマケレレ

共通しているのは「こいつがいないと困る」選手であること。

現代で言えばアルトゥーロ・ビダルやカゼミーロ、マルキーニョスなども同様でしょう。

キャプテンやエースの影で、汗かき役に徹し、ハードワークを厭わない万能な選手こそがチームに水を運ぶ存在となります。リヴァプール においてはまさにジニ・ワイナルドゥムこそがそうでしょう。

 

f:id:Take_2516:20200528005703j:plain



リヴァプールにおいて多岐にわたるジニの貢献はもはや誰もが知るところでしょう。

ショートカウンターに繋げる「ボール狩り」としての役割

・最終ラインまで下がることでロバートソンを前線へ押し上げる役割

・中盤まで降りてきたフィルミーノに代わり前線へ飛び出し攻撃に絡んでいく役割

これらを遂行できるのはひとえにジニがテクニック、フィジカル、状況判断など水準以上の技術を兼備した万能型プレーヤーへと変貌したからです。ニューカッスル時代はしばしばテクニックの面では多くのファンや選手にも知れ渡っていましたが、それだけと表されることも多かったと言われています。それがクロップの指導の元、マルチなプレーへと適応することができたからこそリンクマンとしてなくてはならない選手となりました。

 

 

そして、くどくて申し訳ないのですがやはり今のワイナルドゥムの役割はユベントス時代のダービッツがこなしていたそれと非常に似ているのです。

www.footballista.jp

 

当時のユベントス、今のリヴァプールともに徹底したハードワークによる戦術を敷いています。元から万能型であったダービッツに対し、ワイナルドゥムはドリブラーからオールラウンダーへと成長しました。そして、上記の記事ではダービッツユベントスで単に1人分の仕事をこなしていたのではなく、2人分の仕事量で前線の選手(マイスター)を支えていたことが書かれています。ユベントスの場合はマイスターはアレッサンドロ・デル・ピエロジネディーヌ・ジダン。そしてリヴァプールの場合はモー・サラーがいわゆる”治外法権”として例外的に技巧やインスピレーションで『違い』を作れる選手です。

彼らが輝くにはその分の仕事をこなせる選手が必要であり、それこそがジニ・ワイナルドゥムのリヴァプールの真価なのです。

 

そして、ここぞというタイミングでヘディングをかましてくれるワイナルドゥムを見ると、やっぱりこいつがいないとな、という気持ちにさせられるのです。

状況を打破してくれるのがサラーやマネではなくワイナルドゥムというのがロマンです。

これぞハードワークのリヴァプールです。

 

f:id:Take_2516:20200528005802j:plain

 

 

・まとめ

オールラウンダーとしてリヴァプールを支えるワイナルドゥム。万能だからこその貢献はもはやファンにとってなくてはならないものです。

1日でも長くリヴァプールでのジニのプレーと笑顔を見ていたいものです。

それでは!

 

f:id:Take_2516:20200528010715j:plain

 

 

 

 

take-2516.hatenablog.com

take-2516.hatenablog.com

 

 

去就が不透明なカイ・ハヴェルツ

リヴァプールレヴァークーゼンでブレークしているカイ・ハヴェルツに興味を持っているとしばしば報じられてきました。しかし、レヴァークーゼン側は移籍を否定した、と『Liverpool ECHO』が報じました。

f:id:Take_2516:20200526001313j:plain

 

『新ドイツの皇帝』と称され多くのファンが期待を寄せるこの攻撃的ミッドフィールダーは来月で21歳の誕生日を迎えます。また、ブンデスリーガで100試合の出場数を記録した最年少選手ともなり、そのポテンシャルからもアンフィールドへの加入が数ヶ月にわたって噂されてきました。

www.liverpoolecho.co.uk

1週間前にはレッズのレジェンド、ベン・メイブリー氏がクラブに、好敵手マンチェスター・ユナイテッドがブルーノ・フェルナンデスと契約を結んだように、プレーメイカーとして活躍できる選手であるハヴェルツの獲得を進言したそうです。”彼はとても、本当にとてもいいプレーヤーのように思えるよ”と明言したそうです。

 

ドイツといえばもう1人ワールドクラスのスターとして強くリヴァプールへの加入が噂されているティモ・ヴェルナーは、プレミアリーグへの挑戦を公言したことでドイツの複数のレジェンドから疑問や苦言を呈されていました。

 

f:id:Take_2516:20200526001427j:plain

 

今月にはバイエルン・ミュンヘンの最高責任者でありクラブの伝説的選手であるカール・ハインツ・ルンメニゲが、このRBライプツィヒのストライカーの態度を批判しました。

”(ヴェルナーの発言については)もはや何も驚いてはいないよ。しかし私は今まで選手がそのような噂の類に公の場で反応した場面を見たことがない。” 

と皮肉を述べました。

 

対照的にハヴェルツは彼のキャリアを左右するようなクラブに関して発言することで状況を乱したくないと主張しています。

 

f:id:Take_2516:20200526001810j:plain

 

ブンデスリーガ第節にてレヴァークーゼンボルシアMGに3-1で勝利した試合で2得点を記録したハヴェルツの発言を『Goal』が引用しています。

”たとえ僕に関する多くの憶測が飛び交っていたとしても、何も言いたくないよ。今はこのシーズンに集中している。その後どうなるか見てみようよ。僕はレヴァークーゼンでプレーできることに感謝しているし、発言することでそれをかき乱したくないんだ。”

 

ハヴェルツに興味を持っていると報じられているのはリヴァプールの他、バルセロナユベントスバイエルン・ミュンヘンレヴァークーゼンはクラブのスターの移籍を防ぐため、移籍金を100M€(約117億円)に設定したと報じられています。

 

ヴェルナーとは打って変わって自身の去就に慎重な姿勢を見せたカイ・ハヴェルツ。リヴァプールにはボビー・フィルミーノという攻撃の上での絶対的な核となる選手がいますし、1月にもさらなる発展をチームにもたらすことができるとクラブが判断して南野拓実が加入しました。

果たして将来が嘱望されるこのドイツ人プレーヤーはどのような決断をするのか。

 

take-2516.hatenablog.com

take-2516.hatenablog.com

 

 

クロップ×哲学 人を動かす3要素

説得力がある人と喋るのって楽しいですよね。逆に自分が上手く相手を説得できなかったりするともどかしい気持ちになりますよね。

 

黄金期と呼ばれた頃のビル・シャンクリーであったり、04-05シーズンミランに対しCL逆転優勝を指揮したラファエル・ベニテスなど数多くの名監督がリヴァプールで采配を振るいました。そして、現在指揮するのはユルゲン・クロップ

これほどリヴァプールというチームにマッチした監督はいないでしょう。

f:id:Take_2516:20200523140759j:plain

 

クロップはモチベーターとして非常に高い能力を持っており、すなわち人をその気にさせるのに非常に長けています。だからこそ選手やファンはこの監督についていこうという気になり、誰しもに愛されるキャラクターとなっているのです。

今回はユルゲン・クロップと哲学を織り交ぜて、人を動かすために重要な役割を持つ3つの要素とクロップの理念やスタイルと併せて紹介していきます!

 

 

 

・クロップ×アリストテレス

f:id:Take_2516:20200523145436j:plain


西洋最大の哲学者と呼ばれるアリストテレスですが、彼が提唱したのが弁論術の上で最も重要とされている3つの要素。

・エトス Ethos- 権力

・ロゴス Logos- 論理

・パトス Phatos- 感情

これらを高い水準で組み合わせることで説得力は高まります。どれか一つに秀でているだけでは短期的に納得させることはできても、大多数の人間を長期的に納得させることには不十分です。特にプレミアリーグで言えばインテンシティを重視していた過去に比べ、現代は戦術、選手へのケア、メディア対応など数多くの要因が複雑に絡み合って勝敗に影響を与えています。

監督としてチームのモチベーションを高めるためには説得力がなければ始まりません。

クロップはまさにアリストテレスが理想とした弁論術を実践している選手と言えます。

 

『説得力=エトス×ロゴス×パトス』

f:id:Take_2516:20200523152452j:plain



それでは、果たしてユルゲン・クロップはどのような方法でリヴァプールの選手やファン、果てはメディアまでにも好かれる人物となっていったのでしょうか。

 

・エトス Etos

Etosは倫理を意味するEthicsの語源であり、すなわち聞き手が”正しい”と思えるかどうか、という意味合いを持ちます。ではその信頼はどこから生まれるのでしょうか。

 

アリストテレスは、それをAuthority-権力から生まれると提唱しました。

 

youtu.be

 

エトスを強調する上でしばしば有効なのは権力を示すことです。この動画で言えば、ミシェル・オバマはその大統領夫人という立場からCelebrity-知名度の点で多くの人々に知られています。どこの誰かもわからない人に比べて、その言葉は人々の関心を集めやすいと言えるでしょう。当たり前ですが、人に一目置かれる人物の言葉に、大衆は耳を傾けます。

 

では、リヴァプール監督就任時のユルゲン・クロップはどうだったか。

 

多くの人に知られているようにクロップと言えば、ドルトムントの監督として09-10と11-12シーズン続けてのリーグ優勝を果たしています。香川やロイス、フンメルスをワールドクラスへと昇華させ、国内最強のバイエルン・ミュンヘンを2季連続で退けた実績は十分であると言えます。リヴァプールの監督就任においても、なるべくしてなった、と言うことができます。

より大きなクラブとなる程、エトスを支える知名度や実績は重要視されることとなります。

 

f:id:Take_2516:20200523160126j:plain

 

当時のクロップは獲得タイトルの少なさから「銀メダリスト」などと揶揄されることもありましたが、リヴァプール監督就任後は、低迷していたチームを長期的な計画に沿って育て上げ、昨季はCL優勝、今季もリーグ優勝確実と圧倒的な成績を残したことからも、もはや多くのファンや選手に評価される、世界トップレベルの監督です。

 

もう一つエトスを構成する要素があります。それは、Social Standing-立場です。

f:id:Take_2516:20200523162349p:plain

例えば、ワイドショーで多くの専門家が出演していますが、当然それは彼らの社会的な立場からの意見が必要とされているからです。現在で言えばコロナウイルスの報道において、感染症学教授の立場から、法律家の立場から、経営者の立場から、などその人のキャラクターを構成する様々な立場がエトスを高める要因になります。

 

逆に言えばそのような立場にいる人は信頼されるに足る振る舞いをする必要があります。政治の話になりますが、検事長の立場にある人物が外出制限中に賭け事に興じてしまえば当然その立場への信頼はなくなります。

 

 

ではクロップが監督としての立場で、多くの人々の信頼を勝ち取ったのはなぜか。

まず、選手に関して言えば、何よりも彼が選手第一の姿勢を明確に示し、行動に移してきたからでしょう。しばしばチームの選手を批判した人物には、「おまえは何を言ってるんだ」、とばかりに選手を擁護しますし、クロップは公の場で誰かを貶めるような言動を決してしようとしません。この動画内で比較するのが嫌いと語っているように、常にリスペクトし、守ってくれると感じるからこそ選手からの信頼も厚いのでしょう。チームに不満分子がほぼいないというのもリヴァプールの大きな強みです。

 

www.youtube.com

 

ファンに関しては、常に「リヴァプールというチームの一員である」ことを求めます。しばしば自チームの選手がミスをした際にファンがブーイングを浴びせるのは珍しい光景ではないですが、クロップは決してそれを良しとしません。そのような行動をとった選手には怒りを示しもっと応援しろ、と両手をあげて鼓舞したという逸話があるそうです。このようなクロップの行動がファンのチームとしての一体感を生み出し、『We are Liverpool, This is Anfield』という精神を常に先頭に立って示しています。

f:id:Take_2516:20200523164835j:plain

 

そして監督とメディアの関係性はいつも難しいものがあります。あることないこと書きたて、常にインタビューしてくる記者を鬱陶しく感じ、対立してしまう監督も少なくありません。実際クロップもメディアに関しては複雑な思いを持っているようですが邪険に扱うことはなく、時にはユーモアを混ぜて場を和ませることもあります。リヴァプールに来た際も英語を身につけて、通訳を介さずに記者と会話することでメディアからも愛される監督として知られています。特にゴシップが好きなイングランドではこの点は監督としてのクロップの評価にかなり影響していると思います。

f:id:Take_2516:20200523164540j:plain

 

エトスに関して言えば、権力と社会的立場、この2つが相手を説得する上で信頼を勝ち取る大きな要因になります。

 

・ロゴス Logos

Logosとはすなわち論理を意味し、説得の上での根拠であったり理由が重要視されます。

ロゴスの重要性についてはこの前の記事で説明しているのでよろしければご覧ください。

 

take-2516.hatenablog.com

 

現代において、監督としてロゴスが最も必要なのは戦術面でしょう。

戦術を定着させるには等しく選手に構造を理解させなくてはいけません。

欧州には数多くの戦略家と称される名監督がいます。ペップ(マンチェスター・C)やトーマス・トゥヘル(パリSG)、マッシミアーノ・アッレグリユリアン・ナーゲルスマン(RBライプツィヒ)などはその典型であり、画期的な戦術でチームの信頼を勝ち取っています。

 

ユルゲン・クロップの戦術においては「フットボール戦術批評 ”クロップ魔法陣”の全貌」という本で詳しく説明されているのでおすすめです。

フットボール『戦術』批評

フットボール『戦術』批評

  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 雑誌
 

 

代名詞”ゲーゲンプレス”ですが、要は点を取るために、相手にボールを持たせた上で、前線中盤がハードプレスを敷いて、奪ったら瞬時に高速カウンターに繋げるというシチュエーションを理想としています。そのため逆に相手チームからすれば、リヴァプールと対戦するときは、カウンターを食いたくないからボールを持ちたくないという思いが生まれます。

 

f:id:Take_2516:20200523173833j:plain


だから近年のリヴァプール対策として、リヴァプールにボールを持たせて守備を固めてこっちがカウンターで攻めるという局面を作り出す方法が普及しました。

 

では、19-20のリーグ戦でリヴァプールは低迷したか。結果ワトフォードに敗れるまで18連勝と、17-18のマンチェスター・Cに並ぶプレミアリーグ最多連勝記録を打ち立てました。それはなぜかというとしばしばサッカーの戦術で重要視される”4局面”のコンプリートを目指したから。今季のリヴァプールが目指したこの戦術についていずれ別の記事で取り上げたいと思います。

f:id:Take_2516:20200523180546j:plain

 

しばしば画期的な戦術を考案してもそれを選手が実践しなくては何の意味もありません。戦術の意味を理解させゲーゲンプレスを基盤にポゼッションも加えたからこそ、今季のリヴァプールは結果を出すことができました。試合で戦術を戦術として定着させた時点で、監督はすでにロゴスを駆使できていると言えます。

逆に戦術面で選手やファンから疑問を呈される監督は、すなわちその戦術を良い理由で説明し定着させることができておらず、ロゴスを活用できていないということです。

 

ロゴスを活用するには理由、根拠を正しく使う必要があります。

 

・パトス Phatos

 

www.youtube.com

 

まさにこの動画こそ、パトスです。これが全てです。

 

ロゴスとエトスがあってもパトスがなくては、説得力は高まりません。

人間の行動は必ずしも合理的ではありません。しばしば感情によって動く動物です。聴衆を感情的に動かせた時点で、あなたの説得は支配的な力を持ちます。スポーツにおいてはなおさらです。戦術は勝つためのツールですが、それだけのチームではファンは応援しません。

支持を得るためにはパトスこそが最も重要なのです。

 

クロップはこのパトスに溢れた人物です。

 

f:id:Take_2516:20200523181822j:plain

 

なによりもリヴァプールは労働者の街です。ファンはなによりも情熱であったり熱狂だったりを重視しています。座って考え込んでいるだけの監督ではファンとも選手との十分な信頼は生まれないでしょう。ユルゲン・クロップという人物は試合の際は常にタッチライン際で立って指揮をします。良いプレーには拍手を送り、ゴールを決めた際はガッツポーズ。

 

感情を前面に出してくれる監督だからこそ、その真剣さだったり本気度が選手やファンに伝わります。クロップが人たらしな理由はなによりもその人柄です。他人がクロップという人を評価する際に、根底にある熱いものを感じ取れるからです。

 

パトスを見せるためには、あなたが持つ思いや感情を表に出し伝える必要があります。

私はそれはエトスよりもロゴスよりも大切だと思います。

 

・まとめ

クロップという監督がなぜこうも人から愛されるのか。それはエトス、ロゴス、パトス全てを駆使して人を揺さぶる力を持っているからだということをまとめました!

クロップが監督であること何よりもリヴァプールの強みだと思います!ありがとうボス!

しばしばビッククラブの監督でもこれら一つに偏ってしまい、総合的に3つの要素を使いこなすことができていないために、不満を買い解任されてしまった例もあると思います。

もしもあなたが人に良く見られたいなら『説得力=エトス×ロゴス×パトス』を忘れないでください。

 

このブログも個人で楽しむよりは発信する、ということを意識していくことを目的にしています。ここがよくない、読む上でこうして欲しいなどの意見があったらコメントして頂けると本当に嬉しいです。それでは!

(5/23 Happy Birthday!Joe Gomez&Pedro Chirivella!)

 

 

take-2516.hatenablog.com

take-2516.hatenablog.com

 

クロップの流儀 言語と文化

いまや国際的な言語として英語は誰もが身につけるべき言語でしょう。

英語はあなたのコミュニケーションの範囲を拡大します。より多くの人と接することで私たちの主張はより多くの観点を含みます。コミュニケーションは誰しもにとってなくてはならないものです。そしてリヴァプールの監督であるユルゲン・クロップは何よりもコミュニケーションを重要視していることが窺えます。

 

f:id:Take_2516:20200521220237j:plain



 

多くの地域から選手が集まっているクラブで、どうしてもつきまとうのが文化と言語の問題。しかし個人的にはこれらは別にグローバルな場所だから起きる問題ではなく、ごく身近な場所でもふと感じることのある問題だと思います。クロップはチームにネガティブな側面を加えないようごく自然な方法でこの2つの問題と付き合っています。そこで今回はそんなクロップがどのようにそれを実践しているかに焦点を当てていこうと思います。

 

①何よりも大事なのは違いへのリスペクト

戦術家と評されるペップ・グアルディオラと比べてクロップはモチベーターと称されることが多いです。ゲーゲンプレスの第一人者であり戦術面でも多くの変化を取り入れてきましたが、クロップという人が最高の監督であると評されるのは、彼の真髄がひとえにコミュニケーションにあるからです。

 

この記事で、クロップが何よりも他人をリスペクトし、より良い関係を築くために努力を重ねつづけていることが分かります。

www.soccer-king.jp

 

なによりも違う文化圏に住む人との間には、文化と言語の壁があります。しばしばそれらは誰もが持つ権利と同じで互いに尊重されなければいけないものです。

 

数日前の授業で菜食主義に関するディスカッションを行ったのですが、恥ずかしながら私はveganの人々の存在を知りませんでした。しばしば日本人は菜食主義者の人々のことをvegetarianと思いがちですが、ベジタリアンの中にも野菜の他に卵や魚を食べる人もいれば、魚は食べず野菜と乳製品のみを食べる人もいます。そしてヴィーガンの人々は植物性の食品しか口にしません。

f:id:Take_2516:20200521210323j:plain

 

私はこれらの違いを知らなかったし、同時に知らなかった自分にショックを受けました。東京オリンピックに向けてしばしば都心のレストランはベジタリアンの人々のためのメニューを取り入れたとのニュースも流れていましたし、自分はそれなりに異文化への知見があると思っていました。でも実際は”知らない”ということがその文化への一種の無関心あったり、あるいは冒涜であったとも言えるかもしれません。

 

リヴァプールにはイングランドの選手だけでなく、サラーやマネなどアフリカ系の選手もいれば、ボビーやファビーニョ、南米出身の選手、そしていまやアジアからは南野拓実が在籍しており、当然彼らは自分たちの慣習が受け入れられることを望んでいます。その点(これらも知らなかったのですが)クラブにはイスラム圏の選手のための礼拝堂があり、クロップ自身が他文化理解の姿勢を明確に示すことで、肌の色や人種、言語や宗教による蔑視を良しとしないチームの雰囲気につながっているのだと思います。当然それが一体感を生み出し、選手同士や監督やコーチとの信頼につながっているでしょう。コミュニケーションと差別は最もかけ離れたものです。

 

f:id:Take_2516:20200521220756j:plain

 

②良いプレーのために良い環境を

次に、言語力は選手にとっても監督にとっても非常に重要な意味を持ちます。クラブに加入するなら当然その国の言語を学ぶ必要があります。英語はその点最も多くの人間にとって便利なツールであり、英語が話せないだけでパスさえもらえず退団してしまう選手がいたと聞いたことがあるくらい、サッカーと言語、しばしば英語の間には強い結びつきがあります。

監督にとっても英語を話せれば、プレミアリーグでは大半の選手と通訳なしで会話できるでしょうし、自分の伝えたいことを他人を介さず自分の口で相手に伝えることはコミュニケーションにとって非常に重要です。

 

しかしクロップの良いところはかといって英語やクロップの母国語であるドイツ語を話せない選手を邪険にするのではなく、逆に手厚くサポートしてくれる点です。ドルトムント時代、クロップは香川選手とコミュニケーションを取るために日本人の通訳をチームに招き入れ、さらにはチームにとって神聖な場所であるロッカールームやベンチにまで帯同を許可したと聞いたことがあります。

 

f:id:Take_2516:20200521221029j:plain

 

言語力に不安のある選手にとって、新天地で活躍するためにはメンタル面の問題が大きな影響を持つでしょう。その点クロップやチームが常に馴染みやすい環境づくりをこころがけているからこそ、選手は快適に感じ、プレーに集中できるのだと思います。クラブの公式Youtubeから、チームの誰かが誕生日の時は、それぞれの母国語でバースデーソングを歌い合っている動画も挙がっています。

 

www.youtube.com

 

”郷に入っては郷に従う”ことも非常に大事ですが、一方で選手がストレスフルになりすぎないように十人十色のチーム作りを実践している点が非常にコミュニケーションを促す上で重要なファクターとなっていると思います。”お互いのことを知りたい”という思いこそチームプレーには不可欠ですし、どこにおいても必要とされる感情です。ただ設備や待遇を良くしても良いプレーは生まれない。良いプレーのために良い雰囲気を作りだすことにおいてリヴァプールよりも上のクラブはなかなかいないのではないでしょうか。

 

f:id:Take_2516:20200521221524j:plain

 

今回はクロップがコミュニケーションを取る上で、その前段階として重要なエレメントである言語と文化との付き合い方に焦点を当ててみました。しばしばこれらは障害であったり問題となって、私たちの人生に立ち塞がります。しかしそれらと誠実に向き合うことで、必ず各々のマインドに新たな観点や気づきを与えてくれます。だから私たちは言語と文化の問題から目を背けてはいけないと思います。

 

次回はクロップという監督がなぜこんなに誰もに愛されるのか?そのコミュニケーションの真髄を自分なりに分析したいと思います!

練習が再開しましたが、選手や関係者の方々の健康を祈って。それでは!

 

take-2516.hatenablog.com 

take-2516.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

リヴァプールとニコロ・ザニオーロの噂

試合がない今日において、メディアが移籍の噂をしきりに取り上げようとするのは当然でしょう。信憑性はともかくとして複数のイギリスメディアは、ローマがファンの期待を背負うヤングスター、ニコロ・ザニオーロを今夏放出し、加えてリヴァプールが彼に興味を持っている、と報じました。

 

f:id:Take_2516:20200520215401j:plain

 

ザニオーロは20歳の期待の若手。今季はローマで公式通算24試合に出場し、6得点と7アシストを記録しています。最も有力視されている新天地はユベントスと報じられていますが、コロナウイルスによってフットボールが大打撃を受ける前にリヴァプールもまた、わずかに可能性があると言われていました。

 

liverpooloffside.sbnation.com

 

ウイルスの蔓延以前に、ローマはかねてから抱えていた多額の負債を解決するために、ザニオーロの売却価格を80M€(約94億円)に設定したとの報道が出ています。事実多くのクラブがコロナのパンデミックによる財政問題を抱えており、クラブはさらに設定価格をさらに下落させる可能性があります。

加えてローマは今季のセリエAで5位。現在4位のアタランタとは勝ち点差3と順位が変動する可能性があるものの6位のナポリとも勝ち点差6と予断を許さない状況であり、チャンピオンズリーグの出場権を失う危険にさらされています。

しかし、ローマを取り巻くいくつかの問題に関わらず、ザニオーロがクラブの未来を背負う選手であることは間違い無いでしょう。

f:id:Take_2516:20200520223612j:plain

 

リヴァプールはザニオーロの獲得に関して積極的であるとは目されていませんが、彼のポテンシャルやプレーに興味をもっているとのこと。

ローマとザニオーロ現行契約は2024年までであり、複数のクラブが獲得に向けて今季のオフシーズンに大金を用意する可能性がある一方、本人がスタディオ・オリンピコ残留を希望する可能性も少なくないだろうと述べています。

発信源としては『The Sun』『Daily Mirror』『Liverpool ECHO』などのイギリスメディア。

 

リヴァプールが過去にもザニオーロに興味を持っていたことは知られており、今回噂が出たのも真偽はともかく自然であったと言えます。しばしばイングランド人はセリエAで成功しない、同様にイタリア人もプレミアリーグで成功するのは難しいということを耳にしたことがあります。また、これは個人的な思いですがザニオーロはローマが似合うと思います。もちろん素晴らしい選手であることに疑問の余地はなく、リヴァプールに来てくれるなら大きな助けとなるでしょう。ザニオーロがローマで、もしくは新たなクラブでプレーするにしろ彼の将来が輝かしいものとなることを信じています。

 

take-2516.hatenablog.com

 

take-2516.hatenablog.com

 

 

リヴァプールにキャリアを捧げた10人の選手

7年前の今日、ジェイミー・キャラガーアンフィールドでのキャリアに幕を下ろしました。『The Rock』と称され素晴らしいディフェンダーであった彼は、クラブでの最初のゲームから16年以上たった2013年5月19日、レッズに別れを告げました。

 

リヴァプールの歴史にて、この23番よりも多くの試合を重ねた選手はただ1人しかいません。リヴァプールの公式サイトはクラブの試合出場選手10人を紹介しています。

 

www.liverpoolfc.com

 

1.  イアン・キャラハン -857試合

f:id:Take_2516:20200519214748j:plain


1960年のデビューから1978年の退団までの18年の期間に857試合に出場した、クラブ最多出場記録を持つイアン・キャラハン。信じられないほど長年レッズに貢献したミッドフィルダーリヴァプールのファーストチームに上がった時、クラブはビル・シャンクリー監督のもと2部でプレーしており、ボブ・ペイズリーが選手としてUEFAチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)の栄冠にリヴァプールを導いてから数年が経っていました。

選手時代に68ゴール、1965年のFAカップ優勝、5つのリーグタイトル、2回のUEFAチャンピオンズカップ優勝、そしてイングランドのW杯優勝に貢献しました。

彼の記録は未来永劫破られることはないだろう、とクラブは書き記しています。

 

2. ジェイミー・キャラガー -737試合

f:id:Take_2516:20200519220926j:plain

 

キャラガーは彼の最後のシーズンであった12-13シーズンに、公式試合通算700試合出場越えを記録した2人目の選手となりました。リヴァプール生まれの闘将は1996年のデビューから2013年の引退までの17年間をリヴァプールに捧げたワンクラブマンであり、キャリア絶頂の6年間はラファエル・ベニテス監督の元、センターバックとしての評価を確固たるものにしていました。00-01シーズンにはリーグカップUEFAカップFAカップの三冠を達成。長年リヴァプールを支えた鉄人は、7年前の今日ファンからのスタンディング・オベーションを受けてアンフィールドを去って行きました。

 

3. スティーブン・ジェラード -710試合

f:id:Take_2516:20200519222613j:plain


ジェラードはアンフィールドでのラストシーズンとなった14-15シーズンに、長年の親友でありチームメイトであったキャラガーに匹敵する公式通算700試合超えを果たしました。

リヴァプールの象徴であったアタッキングミットフィルダーは、アカデミー上がりの選手として17年をリヴァプールで過ごし、右足から繰り出される強烈なミドルシュートに代表されるプレーやメンタリティーで、キャプテンマークをヘンダーソンに譲るまでクラブを牽引し続けました。レッズのキャプテンとしてUEFAカップFAカップリーグカップを掲げ、アンフィールドを熱狂させてきました。

 

4. レイ・クレメンス, エムリン・ヒューズ -665試合

f:id:Take_2516:20200520003118j:plain

リヴァプールのキャリアにて、クレメンスとヒューズは公式通算665試合に出場しました。クレメンスは14年間リヴァプールを代表とする名ゴールキーパーとして活躍し、ヒューズは無尽蔵のスタミナと強烈なミドルを併せ持つボランチとして12年間リヴァプールに在籍しました。どちらも共に1967年、ビル・シャンクリー監督との契約にサインをし、国内では史上最強と称されたクラブの黄金期と、当時の欧州での成功になくてはならない選手でした。この2人のイングランド人が共にリヴァプールに在籍している間に、チームは4つのリーグタイトルと2つのUEFAカップ、2つのヨーロッパカップFAカップを勝ち取りました。

 

6. イアン・ラッシュ -660試合

f:id:Take_2516:20200520002143j:plain

イアン・ラッシュ以上にリヴァプールでプレーし続けたストライカーはいません。また同時に彼以上に全ての試合で得点を量産したストライカーもまた、いないでしょう。リヴァプールで346ゴールを記録、8年間のリヴァプールでのプレー後一度はユベントスヘ去るも、88年に復帰。それからこのウェールズ人はアンフィールドのファーストチームで8年間プレーし続け、類稀なる得点力で数多のトロフィーを掲げてきました。計16年間をリヴァプールで過ごし、2つのUEFAチャンピオンズカップ、5つのリーグカップ、3つのFAカップを勝ち取り、黄金期のストライカー、忘れられることのないクラブのレジェンドとして名を残しました。

 

7. フィル・ニール -650試合

f:id:Take_2516:20200520002039j:plain

ニールのリヴァプールでの11年間は、8つのリーグタイトルと4つのヨーロッパカップを含む輝かしい時代であり、しばしばディフェンダーながらもクラブ史に残る重要な得点を挙げたことから、ブラジルのレジェンドであったジーコのニックネームで親しまれました。

監督であったボブ・ペイズリーとサインし、74年にノーザンプトン・タウンから移籍した彼は、75年から85年までのリヴァプールでの10年間の実績から考えてもとんでもない掘り出し物であったと言われています。ディフェンダーとしてPKの名手としても知られ、ディフェンダーとして決めた59ゴールのうち38ゴールがPKによるものでした。

 

8. トミー・スミス -638試合

f:id:Take_2516:20200520001930j:plain

1963年5月のリヴァプールでのデビュー以来、『アンフィールドの鉄人』と呼ばれたスミスは1975年までの12年間ディフェンダーとしてプレーし続けました。シャンクリー監督の薫陶を受けた彼はラストシーズンであった75年に黄金世代のレギュラーとしてFAカップを勝ち取り、アンフィールドを去りました。粘り強いディフェンスで知られ、タフで頑強であったスミスはリヴァプールで3年間キャプテンとしてプレーし、48ゴールを記録。4つのリーグカップとヨーロッパカップを勝ち取りました。

 

9. ブルース・グロベラー -628試合

f:id:Take_2516:20200520001759j:plain

グロベラーはリヴァプールのファーストチームで13年間にわたって活躍。ジンバブエ史上最高の、そしてクラブの最も偉大なゴールキーパーの1人として名を残しています。1981年の3月にクラブと契約し、アンフィールドでのキャリアをスタートさせ、最初の5年で300試合以上ゴールマウスを守り続けました。クラブを去るまでに6つのUEFAチャンピオンズカップとヨーロッパカップ、3つのFAカップと3つのリーグタイトルを勝ち取る輝かしい成績を残しました。

 

10. アラン・ハンセン -620試合

f:id:Take_2516:20200520001639j:plain

ハンセンはレッズにて600試合を超えるプレーをした10人の最後の選手であり、1977年の加入から90年の引退まで14年間プレーし続けたスコットランドディフェンダーです。

エレガントなプレーでファンを虜にしたセンターバックは、丈夫で知的な人物としても知られ、3つのリーグカップと3つのヨーロッパカップ、2つのFAカップに多大な貢献をしました。85-86シーズンにはキャプテンマークを巻き、数多のタイトルを獲得した黄金期を支え、リーグ3連覇を成し遂げたリヴァプールの英雄の1人です。